ハードボイルド・エッグ
- 著書
- [荻原浩]
- 出版社
- [双葉文庫]
- 読了日
- 20061004
内容とは関係ないのだけれど、まず、読了してちょっとびっくりしたのが、双葉文庫には解説がないっていうこと。単行本が文庫化されれば、末尾に数ページの解説がつくのが当たり前だと思っていたのに、これがないのはちょっとがっかり。
さて、話は、ハードボイルドかぶれの私立探偵の話。ハードボイルドに生きようとしているのだけれど、やってくる仕事は、犬、猫などのペット探し。ほとんど便利屋。
ハードボイルドを気取るために、美人秘書をつけようとチラシをつかうと...やってきたのは、八十過ぎの婆。この婆がひと癖もふた癖も...年を重ねただけあって、探偵はかなわないのだ。
犬、猫、イグアナなどと関わっているうちに、殺人事件に遭遇し、本当の探偵として活躍しようとするのだけれど...命からがら...
とにかく、ハードボイルドは虚構の世界であって、現実には生きてはいけない。
ハードボイルドを気取ったバーには、いつの間にかおでんの鍋がはいり、カラオケも、最後には...軒先を貸して母屋を取られるというか、名より実を取るというか...
ハードボイルドって、基本的に読まないんだけど...だから、この文体はちょっと目新しいんだけれど、非常に鼻につく感じで、なかなかスピード感を持っては読めなかった。
ハードボイルドを茶化したような作品で、こうなんだから、きっと私にはハードボイルドは合わないんだろうな。ずっこけた感じが心地よく読めるし...たぶん私自身も、ずっこけた感じが心地よいのだろう。