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ららら科學の子

著者
[矢作俊彦]
出版社
{{文藝春秋}}
読了日
20061019

単行本を書店で見ながら気になっていたのが文庫化されていたので購入。こういう話なのね。タイトルからは想像できないお話。SFみたいな本かと思っていたんだよね。実際のところ。

学生紛争の中で、ふとしたことから殺人未遂犯として追われ、中国に逃げた彼。文革の波の中で、辺境での生活を強いられ、30年の時を経て蛇頭の船で帰国した彼が見た日本は...

彼と、たまたま渋谷でであった少女とのおかしなつきあい。そして、日本社会への適応の様子。一筋縄ではいかないさまざまなこと。

30年前を振り返るのが、ららら科學の子で象徴される漫画だったのだった。そういう時の流れの象徴であって、アトムも、科学も関係のない物語。

30年ぶりに日本に帰った彼の居場所は、そして彼はどういう人間になっていくのか。

若干の違和感を感じるのは、作家と自分の世代のギャップなのだろう。
現在を舞台にした場合、自分プラスマイナス5歳くらいの作家の作品はぴたっとはまって読めるような気がする。この作品は、それよりも少々上だったと思う。