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となり町戦争

原作をずいぶん前によんでいるんだけれど、その時には荒唐無稽な設定をただただ楽しんだだけだったと思う。

だけど、だけど、映画というある種のリアリティは、戦争を非常に身近なものに感じさせる媒体となっている。世界のどこかで起きている、そして、終わりなき戦争。日常生活から離れた他人事のように感じがちなものだけれど、その理不尽さ、悲しさを身近に感じさせる作品に仕上がっている。

太平洋戦争を舞台にした映画よりも、舞台を現在にして、今の日常の中に戦争が持ち込まれたらどういうことになるのか、そんなことを考えさせられる。

町から戦争への関与を依頼された主人公は、実感のないままとなり町との戦争に関係を持ち始める。そして、関与を深めていくことで、戦争がより身近に感じられるようになっていく。

徐々に戦争の悲しさが見えてくることで、身近な戦争を現実的にしていくのがすごい。
原作で、これを感じられなかったのは、私の想像力のなさなのか、それとも、映画がそういうデフォルメで制作されたのか。

都内で1館しか上映していないのは寂しい。

映画のあと、文庫化されて別章が書き下ろしで追加されていたので再読。

別章は、まさに映画で感じたことを鮮明にしてくれた。

いつもどこかで戦争が行われている。そして、戦争と無関係で生きている人間はいない。戦争との関係を意識して生きるか、意識しないで生きるか。